先日、滋賀県守山市で水耕栽培をされているながおか農園さんを訪問し、水耕栽培についていろいろお話を聞かせていただきました。

ながおか農園は守山市と言っても、野洲川を渡った近江八幡に近いところにあります。長岡氏は28歳まで東京で 広告代理店の営業マン をされ、その後故郷の滋賀に戻り、30歳の時に全く異分野で未経験だった農業を始めたそうです。

一般に新規就農される方は国の補助を受けながら2年間の研修を受けてから独立して農業を始める方が多いのですが、長岡氏はいきなりご自身で使われなくなったハウス農地を探して借り、そこを整備して独学で水耕栽培を始められたそうです。その勇気はすごい!しかも、水耕栽培の設備も、就農する前に お兄さんがされている設備工事業を手伝われていた経験を活かし、すべて自作されたとのことです。
現在、始めてから8年が経っているそうですが、当初は失敗の連続だったそうで、その度に試行錯誤を重ね、これまでの広告代理店での経験や知識、そして設備工としての技術などをフルに活かし、ハウスの夏場の暑さ対策で必要なミストを噴霧する設備なども自作し、今ではそうしたものも含めハウスでの水耕栽培設備をパッケージとして販売するまでに至っているそうです。
今回、ながおか農園さんを訪問させていただいた理由の一つに、オランダから帰国し、国内で水耕栽培の農園を始めたいと考えている知人がおり、その知人に紹介して国内での水耕栽培についていろいろとご享受していただけそうかお願いしたいと考えていたのですが、その旨を伝えると長岡氏は何とご自身のこれまでの経験や現状をもとに、経営するうえでの初期投資からランニングコスト、収益などの見積もりまで丁寧に作成してくださっていました。作っていただいた具体的な数字はここでは控えておきます。

そして、いよいよハウスの中を見せていただきました。
ハウスは3反分ほどだそうで、中には美しいグリーンと赤いレタスがびっしりと育つ栽培棚が並んでいます。ここでは彩や食感が違うバタビアレタス ( グリーンリーフレタス)とハンサムブリーン(フリルレタス)、そして赤いレッドリーフレタスを作られていて、レタス三兄弟と呼ばれています。
水耕栽培の良いところは、施設内での栽培なので害虫が少なく農薬をあまり使わなくていいこと、そして何よりも連作障害の心配がなく、年間を通して何回転も栽培を繰り返すことができ、通年安定して収益を上げることができるという事です。そして、土耕栽培のように腰をかがめて収穫する必要もなく、テーブルの上で作業するような感じで収穫できることです。

ここでの水耕栽培は、まずスポンジのベッドに種をまき、発芽させてから、成長に合わせて株と株の間隔を広げていくように等間隔に穴があけられたパネルに植え替えしていきます。写真は発芽してすぐのレッドリーフレタスです。可愛いですね。
もう少し大きくなると少し間隔をあけて穴が開いたパレットに移植されます。

移植は手作業ですが、腰をかがめる必要はありません。

綺麗に並んでいる様子は美しいですね。
さらに大きくなるとまた間隔をあけて移植されます。

そして、収穫が近い状態がこんな感じです。

こちらはレッドリーフレタス。彩がとてもいいですね。

こちらが ハンサムブリーン(フリルレタス) 。

そして バタビアレタス ( グリーンリーフレタス) です。
水耕栽培の野菜は育つうえで抵抗となる土がなく、必要な栄養成分を直接根が吸い上げて成長するためか、葉がとても柔らかいのが特徴です。長岡氏もおっしゃっていましたが、水耕栽培に対する考え方は賛否両論あり、自然の大地で本来の状態で育てた野菜はとても力強く、味も濃くなる傾向があり、そうしたものを良しとする考えはありますが、今の日本は高齢化が進み、咀嚼力が弱くなったお年寄りが沢山います。そういった方にとっては水耕栽培の野菜は口当たりがとてもソフトで、サラダとして生野菜をたくさん食べることができてありがたいという声を耳にします。
また、今、国内の食料自給率はとても低く、そして労働人口も減っています。そんな中で少しでも自給率を上げるという点においても、面積当たりの収穫量が安定して多い水耕栽培は大きな役割をはやすのではないでしょうか。
帰りがけに長岡氏がせっかくなのでと普段目にすることがあまりない、根が付いたままの状態のレタス三兄弟を用意してくださいました。
バタビアレタス ( グリーンリーフレタス)



それにしても、全くの異業種からの就農で、農地の確保から設備の構築、栽培ノウハウなどをご自身でされてきたのはすごいと思います。なた、長岡氏いわく、「今から就農しようとされる方には、まず国の補助を受けながら2年間どこかちゃんとしたところで研修を受けてからにした方が絶対にいいです。」とのことでした。
長岡さん、取材ご協力ありがとうございました。後日、またオランダからの知人たちを連れて訪問させていただきます。
コメント
[…] 長岡ご夫妻のとこって?? ひょっとしてあのながおか農園さんの?? […]