早秋(そうしゅう):来歴や特徴と産地や旬

完全甘柿,早秋,そうしゅう,ソウシュウ

●早秋(そうしゅう)とは

 「早秋柿」(そうしゅうがき)は「伊豆柿」をもとに「109-27」を交配し育成された極早生の完全甘カキ品種です。

◆早秋の来歴

 「早秋」は農林水産省果樹試験場安芸津支場(現 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所ブ ドウ・カキ研究部)において「伊豆」に「109-27」の花粉を交配し、得られた実生から選抜育成された完全甘柿品種です。育成の過程は下記の通り。

1988(昭和63)年 果樹試験場安芸津支場において「伊豆」に「109-27」の花粉を交配。得られた種子を12月に播種。

完全甘柿,早秋,そうしゅう,ソウシュウ

1989(平成元)年 サイドレス ビニールハウス内の鉢に移植し育苗。

1990(平成2)年 穂木を採取し、「富有」の中間台に高接ぎ。

1992(平成4)年 初結果。

1994(平成6)年 一次選抜。

1996(平成8)年 系統名を「カキ安芸津13号」とし、カキ第5回系統適応性検定試験に供試。

2000(平成12)年 農林水産省育成農作物新品種命名登録規程に基づき、「早秋」と命名、「かき農林9号」として農林登録された。種苗法に基づき登録出願。

2003(平成15)年 品種登録完了。

 母樹に用いられた「伊豆」は「富有」と、「晩御所」同士の交配から得られた実生から選抜育成された「興津1号」との交配から生まれた完全甘柿品種です。花粉親である「109-27」は「富有」と「晩御所」の交配から育成された「興津2号」と、「晩御所」と「袋御所」の交配から育成された「興津 17 号」との交配から育成された系統となっています。

 早生品種としては日持ち性が高く改良されているため、流通させやすくなっています。

 1996年から始められたカキ第5回系統適応性検定試験では本種以外にも「カキ安芸津14号」として「甘秋」、「カキ安芸津15号」として「貴秋」も供試され、いずれも品種登録されています。

◆早秋の特徴

完全甘柿,早秋,そうしゅう,ソウシュウ

 「早秋」の果実は果実重は250g程で果形はやや乱れやすい傾向がありますが、扁平で丸みのある四角い形になるものが多い。

 果皮色は熟すと橙朱色になり艶があります。

 果肉は橙色で、肉質は緻密で柔らかく果汁が多い。糖度は14~15%となっています。

完全甘柿,早秋,そうしゅう,断面,ソウシュウ

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『- - - - -

 果実及び果実縦断面の形は扁円、果頂部の形は深凹、微突は無、果実横断面の形は方円、斜線溝は明瞭で短、側溝は1~2、蒂部の皺は中、

 果皮の亀甲紋は無、果粉の多少は少、蒂窪平面の形は正方形、側面の形は凹U、

 果梗の長さはやや短、太さは太、果心の形は短三角、太さは太、果実の大きさは大、

 果皮の色は橙朱、光沢は良、果実の座の有無及び条紋の発生程度は無である。

 蒂の全形は中太肩凹、長短は中、大きさはやや大、先端の形は太尖、果実に対する姿勢は斜向である。

 果肉の色は橙、褐斑の大きさは小、密度は粗、分布は果肉全体、果肉の粗密は密、甘味は中、子室数は8、種子数は3~4、種子の形は円、長短は短、厚さは厚、種子の色は褐、大きさは中である。

 甘渋性は完全甘、果頂裂果性は少、蒂隙性は無である。

 「伊豆」と比較して、果頂部の凹が深いこと、果実に明瞭で短い斜線溝があること等で、「富有」と比較して果頂部の凹が深いこと、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。

- - - - - 』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた早秋(そうしゅう)の食味

 撮影試食した「早秋」は10月中旬に仕入れた福岡県産のもの大小2種で、いずれも艶々のやや濃い橙色で見るからに美味しそうです。大きい方は326gほどあり、小さい方は260gほどでした。

完全甘柿,早秋,そうしゅう,断面,ソウシュウ 完全甘柿,早秋,糖度,そうしゅう,ソウシュウ

 この柿はヘタ近くに巾着を絞ったようなやや深い窪みがあり、まるのまま皮をむくとその部分の皮が向きにくいです。皮をむくときはこの皴状の窪みに包丁を入れてクシ切りにしてから皮をむくと綺麗に剥きやすいです。

 食べた食味は硬くなく、また柔らかすぎもしない優しい食感で舌触りがよく、柿らしい甘味が口に広がり美味しいです。甘さもくどくなく、後口もすっきりしていました。計った糖度は16%ほどでした。

●早秋(そうしゅう)の主な産地と旬

完全甘柿,早秋,そうしゅう,ソウシュウ

◆全国の早秋柿栽培面積

 「早秋」の栽培面積は2018(平成30)年産特産果樹生産動態等調査で見ると全国ので68.3haで、柿全体で見ると21番目で、わずか0.5%ほどとなっています。2010(平成22)年産の時点では66.3haとなっていたのでこの間は大きな増減はないです。

早秋(そうしゅう)の全国の栽培面積

 主な産地は福岡県で、全国の約44%を占め、次いで岐阜県21%、愛知県12%となっています。

◆早秋の収穫時期と旬

 「早秋柿」は露地栽培では「西村早生」とほぼ同時期の9月下旬から収穫できる極早生の完全甘柿となっています。

 早い所では9月中旬から収穫が始まり10月上旬から中旬に最盛期を迎えます。食べ頃の旬は10月上旬から中旬にかけてです。

旬のカレンダー 8月 9月 10月 11月
早秋柿                        

< 出 典 >

 ※ 「カキ新品種”早秋(そうしゅう)”」農林水産省果樹試験場報告 3号 p. 53-65 (

2004.3)

 ※ 「早秋(そうしゅう)」果樹茶育成品種紹介 農研機構

 ※ 「登録番号11115 早秋」 農林水産省品種登録データベース

皆さんで是非このサイトを盛り立ててください。よろしくお願いします。