恋みのり:来歴や特徴と産地や旬

恋みのり,いちご,

●恋みのりとは

◆2020年に品種登録されたばかりの新品種

 「恋みのり」は農研機構が多収で食味がよく、栽培しやすく、収穫・調製作業を大幅に省力できる次世代型品種を目指して久留米試験場において育成されたイチゴです。

 親となるイチゴは、イチゴ久留米48号、「さつまおとめ」、「さがほのか」の多元交配から生まれた多収性の早生系統「03042-08」を母親、食味に優れる「熊研い548(ひのしずく)」が花粉親になっている。

 2017年に登録出願、2020年11月に品種登録が完了したばかりの新品種です。

 農研機構のホームページによると名前の由来は『多収であること、イチゴを通して託された想いが叶うようにとの願いが込められています。』と記されています。

◆恋みのりの特徴

恋みのり<いちご

 恋みのりの特徴は農研機構の紹介では

1.果実が硬めで日持ち性及び輸送性が高い。

2.2L以上の大玉率が高く、収穫最盛期には大玉率が8割以上にもなるという。

3.果房の伸びがよく果実が見つけやすいことや、粒の揃いがいいため、調整・収穫作業の省力化が可能。

と生産者にとってメリットが主となっています。結果的にこれが価格にも反映され、安く流通すると嬉しいですね。

 そして味的には、

1.大粒で粒の揃いが良く、全体に淡赤色から赤色の綺麗な外見。

2.糖度は9~10%とそれほど高くはないが食味は良く、香が強い。

となっている。

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 また、農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の大きさはかなり大、果実の縦横比は縦長、果実の形は円錐形、

 果皮の色は橙赤、果実の光沢の強弱は強、そう果の落ち込みは落ち込み小、

 果実のがく片の付き方は水平、果径に対するがく片の大きさはやや大、

 果実の硬さはかなり硬、果肉の色は白、果心の色は白、果実の空洞は無又は小、季性は一季成りである。

 出願品種「恋みのり」は、対照品種「とよのか」と比較して、葉柄の長さがかなり長であること、果実の硬さがかなり硬であること等で区別性が認められる。

 対照品種「さちのか」と比較して、頂小葉の大きさがかなり大であること、果実の大きさがかなり大であること、果肉の色が白であること等で区別性が認められる。

-----』

◆実際に食べてみた恋みのりの食味

 2021年3月下旬に撮影試食したものは長崎県産JA島原雲仙のもので、価格はとても安かったです。果実はどれもやや横幅のある円錐形で、全体にヘタの付け根まで艶のある赤色に色付いていました。

 断面を見ても借るように中は白く、果芯にわずかですが空洞ができていました。

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 食べてみると、果肉はしっかりとした食感があり、甘味酸味ともに中くらいで香りがよく、全体としてイチゴらしい美味しさが楽しめました。糖度は11度前後でした。

 2017年12月に入手したのは長崎県JA全農長崎のもので、粒は確かに大きく、形もふっくらとした円錐でかわいらしく、全体に赤く色付いていました。甘く華やかな香がとても強く、期待が高まる。

恋みのり<いちご

 食べてみると、まずまだ若いイチゴを食べた時の様なしっかりとした固さがあり、中の果肉は白い部分が多かった。甘味はまあまあという感じで、酸味は少なく普通に美味しいと感じた。

 農研機構のデータによると12月はやはり果実が硬めで、1月に入ってから以降少し柔らかくなるようです。

●恋みのりの主な産地と旬

恋みのり,いちご,

◆主な産地と生産量

恋みのり<いちご

 「恋みのり」は熊本県、長崎県、大分県、山口県等で試験的な栽培が行われ、2018年から本格的に苗の販売が始まっています。

 「恋みのり」は産地のオリジナル品種ではなく、農研機構が開発したいちごなので、全国どこでも栽培することは可能となっています。栽培しやすいなど生産者のメリットが大きいので名乗りを上げる産地が多いかもしれませんね。

 2021年の時点では主な産地は長崎県をはじめ佐賀県などとなっています。

 また「恋みのり」は多収性とともに輸送性にも優れたいちごで、香港などに向けた輸出も行われているようです。

◆恋みのりの収穫時期と旬

 「恋みのり」は促成栽培すれば11月下旬から収穫が可能とされていますが12月まではまだ果実が硬く1月になってからの方が食感が良くなり美味しいようなので、食べ頃の旬は1月から3月頃までとなりそうです。

旬のカレンダー
品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
恋みのり                        

< 出 典 >

 ※ 品種登録データベース 農林水産省ホームページ

 ※ 「収穫・調製作業を省力化できる 大粒で多収のイチゴ新品種「恋みのり」」農研機構 九州沖縄農業研究センター 2017年2月20日

 ※ 「大果で収量性が高く、省力栽培が可能なイチゴ新品種、「恋みのり」」農研機構 九州沖縄農業研究センター 2016年の成果情報

 ※ 「世界が恋する、日本のいちご「恋みのり」」 農研機構2021年2月10日

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