ハマダイ/オナガダイ/アカマチ:生態や特徴と産地や旬

ハマダイ/オナガダイ/アカマチ

●ハマダイの生態や特徴

◆ハマダイとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > フエダイ科 > ハマダイ属(BISMaLより)

学名:Etelis coruscans Valenciennes, 1862

和名:はまだい/浜鯛

英名:Deepwater longtail red snapper、Flame snapper

別名:アカマチ(沖縄)、オナガまたはオナガダイ(東京)、アカチビキ(和歌山)

ハマダイ/オナガダイ/アカマチ

 ハマダイはフエダイ科ハマダイ属の深海魚で、赤く綺麗な体と尾ビレが長いのが特徴的でオナガもしくはオナガダイとも呼ばれている。また、沖縄ではアカマチと呼ばれ三大高級魚として扱われている。もちろん、沖縄に限らずハマダイは高級魚として扱われ、数が少ないこともあってほとんどがすし店など高級料理店向けで一般のスーパーなどには並ばない。

 同じハマダイ属の近縁種にはオオクチハマダイやハチジョウアカムツが含まれ、これらも同じような赤い魚体で高級魚となっている。

 学名の”coruscans”は『速く動いている』という意味のラテン語に由来する。

 英名の”Deepwater longtail red snapper”は直訳の通り深海の尾が長く赤いフエダイということから付けられている。また、"Flame snapper"は直訳すると「炎のフエダイ」という意味で、赤く燃える炎の様にみえる姿に由来する。

◆ハマダイの生態

ハマダイ/オナガダイ/アカマチ

 ハマダイはインド-太平洋の熱帯海域に広く分布し、日本近海では茨城県、伊豆諸島、西之島、小笠原諸島、北硫黄島、硫黄島、神奈川県三浦半島、和歌山県串本、高知県、宇治群島、屋久島、琉球列島、南大東島の周辺で見られる。また、海外では台湾、東沙群島、インド-太平洋域(オーストラリア北西岸・北岸とマルケサス諸島をのぞく)にみられる。

 水深200~500mほどの岩礁域付近を遊泳しながら小さな魚類やエビなどの甲殻類を捕食し生息している。

 産卵期は海域にもよるが夏から秋にかけてとみられている。

◆ハマダイの特徴

ハマダイの背ビレ/オナガダイ/アカマチ

 ハマダイは全長1m、標準体長70cm程になる魚で、体はやや側扁するが体高が高くなくスマート。背ビレは前後に二分し、尾ビレは深く二叉し、先端が細長く伸びている。

 体色は背側が鮮やかな赤色で体側から腹にかけてはピンク色をしており全体に綺麗な赤い魚に見える。

ハマダイ/オナガダイ/アカマチ

ハマダイ属は背ビレは棘状の前部と軟条の後部の間に深い欠刻があり、主上顎骨にウロコがあること、胸ビレが腹ビレより長いことなどが特徴。その中で、ハマダイは尾ビレの先端が上下ともに長く伸びていること、主上顎骨後端は眼の中央下か、それより前方までであることなどで区別できる。

●ハマダイの主な産地と旬

◆主な産地と漁獲量

 ハマダイは暖かい海の深海魚で、主に一本釣りや深海延縄で漁獲されている。主な産地は伊豆諸島や小笠原諸島をはじめ、沖縄県や鹿児島県。関東には主に伊豆・小笠原から、関西には鹿児島などから入荷されている。

 漁獲量は少なく高級魚である。

◆ハマダイの漁獲時期と旬

 暖かい海域の魚で通年漁獲され、季節的な味のばらつきは少ないようだ。漁獲量が多いのは産卵期と重なる6~8月にかけてと、11月頃の秋となっているが、味的に美味しい旬は不明。 講談社「旬の食材」では夏の魚として扱われている。

 漁獲量でみた旬は夏なのだが、発達した卵巣を持った個体が見られるのは5~8月となっており、初夏から夏にかけて産卵盛期となるため、身自体が充実して美味しい時期は晩秋からから春にかけてではないだろうか。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ハマダイ                  

 出 典

 ※ 「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 P.174

 ※ 「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 P.925

 ※ 「食材魚貝大百科 3」平凡社

 ※ 「旬の食材 夏の魚」講談社

 ※ 「平成16年マチ類(奄美・沖縄・先島諸島)の資源評価」西海区水産研究所(小菅丈治、木曾克裕)


 
 

UP